動物病院よもやま話 その1「犬と猫と動物病院の数」

2021年11月19日

こんにちは。ブログ更新がとっても滞っている院長です。

なんだかかっこいいことを書こうとすると、「これって微妙じゃない?」と自問して筆が止まってしまうので、よもやま話(とりとめのない、雑多な話。無駄話の類。「四方山話」と書く。出典:実用日本語表現辞典)を書いてみます。

景気の良い悪い、コロナ感染症のことなど、ほぼ関係なく全国の動物病院は増え続けていますね。みなさんのおうちの近くはどうでしょうか? 近くに新しい動物病院ができたという方も少なくないのではないでしょうか? 全国の動物病院数は年々増え続けています。
私が大学を卒業してこの道に進んだのが2005年。郵政民営化やライブドアの話題などが世を賑わせていましたが、2005年の全国動物病院数は9,482軒でした。2008年には10,017軒と1万軒の大台を突破し、2014年には11,259軒、そして2020年には12,247軒となっています。(出典:農林水産省「飼育動物診療施設の開設届出状況」)
15年で約1.3倍ということになります。

「いや、ペットブームだから動物の数も増えているのでは? 猫ブームもあったし。」
とよく聞かれますが、2005年〜2020年の15年間で、

猫は横ばい、犬は2/3(約65%)の大幅減、です。

出典:一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」から抜粋

「いや、だから、獣医さんも大変なんっすよ。」なんてことを言いたいわけではなく、動物病院のもう一つの大きな変化が、

2005年から2017年の12年間で動物病院全体の市場規模(売上)は1.8倍に!

「なんだ、実は獣医さんはウハウハなんですね?」

それも違います!(断固)

動物病院の市場規模(売上)が大きくなっている理由を考えると、(私見を含む)

・飼い主の飼育意識や治療意識の向上

・ペット保険の普及(2019年時点で加入率約9.1%)

・人間のような治療ができる(できてしまう)ようになり高度(高額)医療が身近なものになった

・近代的な医療を実践するために動物病院も設備投資をしなければいけなくなり、診療単価が上がった(でも利益はむしろ減っていたり・・・)

・動物病院スタッフの給与など雇用条件の改善のための診療単価の見直し(今が良い待遇なのではなく、昔が・・・)

・ウェブやSNSで治療の情報を飼い主が簡単に入手することができて、動物病院もきっちりと検査や治療をせざるを得なくなった。(いい意味で「適当」な治療も許容されづらくなった。もちろん悪い意味で適当な治療は許されません。)

・既存サービスの改善や新しいサービス(価値)を提供できるように精力的な獣医師が頑張っている

こんなところでしょうか。

売り上げは増えた反面、動物病院の利益率は恐らく下落しているのでは無いかと推測します。
間違いなく「人件費」や、いわゆる「原価率」が上昇していますので。
そもそも大変な獣医療で楽して稼ごうなんて志の獣医師はほとんどいないでしょうが、ますます楽をして稼げない時代なわけです。当たり前のことですが。

よもやま話なので何が書きたいのかは置いておきましょう。
でも、受診していただいた時に「色々とコストかかっているんだな」、と思っていただいた方が、納得の上円滑に治療が進むのではないかと。

えっ? 近くの動物病院は昔から設備も治療も変わっていない?

必ずしも新しい設備と治療が正しいわけではないですが、これまでと違ってこれからは、時代に対応できない動物病院があれば淘汰されていく時代です。明日は我が身。

そんな中でも当院は常により良い獣医療を目指してまいります!(宣伝)

「その2」があるかは私次第。。。