膀胱結石

2013年04月06日

4ヶ月前から血尿と頻尿・残尿感があり、膀胱結石として治療しているが改善がないとのことで、セカンドオピニオンを求めて10才のわんちゃんが来院しました。抗生物質、療法食(ヒルズs/d缶・c/dドライ)、各種サプリメントを処方されているとのことです。持ってきて頂いたおしっこは強い酸臭で、その時点で適切な治療がなされていないことが分かりました。
‘尿の酸臭’=‘細菌感染をおこしている’ことが考えられます。細菌感染には抗生物質を使いますが、この子はずっと効かない抗生物質を使っていたということです。細菌感染を治さないで療法食やサプリメントを使ってもほぼ無意味です。
まずは適切な抗生物質を選択して使用しました。

犬の膀胱結石は
1.ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)
2.シュウ酸カルシウム
が、二大結石と呼ばれ、1のストルバイトであれば細菌コントロールと処方食で溶かすことができます。2のシュウ酸カルシウムは手術で摘出することになります。残念なことに摘出しない限りはどちらなのか診断できません。

ただここで大きな問題です。
kesseki
kesseki3
左上が膀胱結石、右下が尿道結石です。(膀胱結石が尿道に流れてきたら尿道結石です)
何ヶ月も前からおしっこがポタポタ出るとのことだったので、これも気づかれぬままだったのでしょう。

尿道結石はこのサイズだと外に出てくることは無いので、水圧をかけて膀胱に戻すしかありません。ただ、すぐまた落ちてきてしまいました。。。。

「悠長に1ヶ月間処方食を使って待ってられるか〜〜」、、、ということで手術です。
kesseki2
ああ、すっきり。
退院直後からスムーズな排尿ができるようになりました。飼い主さんにすごく喜んで頂いてすごく嬉しかったのですが、わんちゃんとは少し距離ができて涙(T_T)  そりゃしんどかっただろうからね。しょうがないよね。。。

シュウ酸カルシウム結石
検査の結果、結石の正体は2のシュウ酸カルシウムでしたので、すぐの手術で正解でした。
今後は療法食ヒルズu/dを食べながら、再発しないことを祈ります。

「結石です」と言われてずっと療法食使っていたりしませんか? 本当に必要なのか?適切なのか?ということを常に確認する必要はあるでしょうね。