乳酸菌

2015年02月26日

獣医師という職業柄、ひいては自分の信条から、根拠のない情報を全く信じない性分。

特に「これを使ったらこんなに良くなりました!」というようなアイテムを見せられると虫酸(ムシズ)が走ってしまいます。

でもそこは、「♪ズーン・ズーン、ズーン・ズーン、チャーチャーッチャチャチャ・チャーチャーッチャチャチャ♪」なんて音楽に乗りながら、2ヶ月後に腹筋バキバキになっている映像を見せられたら、「ちょっとやってみたいな〜」と思うのが人情というものです。
あっ、別に『○イザップ』をやってみたわけではありません。(あれはトレーニングによる肉体改造ということらしいですが)

先日、ふと病院にやってきた某製薬会社の営業の方。犬の乳酸菌製剤のPRに来院されました。

どうせ乳酸菌製剤なんて診断ができない人間が使うもの」、、、
「なるほど、興味深い。して、私は裏付けに乏しい治療はしないのですが、どうなんでしょう?」と尋ねたところ、

「先生はアレルギーはありませんか?」とのこと。

なんと、乳酸菌を飲み続けるとアレルギーが軽減される(かもしれない)らしい! なんてタイムリーな! スギ花粉症さようなら!

ということで、なぜか犬の乳酸菌製剤の営業に来た方から、ヒト用乳酸菌製剤のサンプルをゲットし、1ヶ月間試してみることに。
(ちなみにサンプルは少しだけだったので、残りはもちろん自費で購入です!)

きっと1ヶ月後にはスリムなボディー!ではなく、花粉症よサヨウナラ!になっているはずです。
自らの体を使って治験をしてみます。効いたらアレルギーや難治性腸疾患の動物への使用も考えようかなと。
結果が気になる方は病院で確認を。。。

〈補足〉
乳酸菌とは、糖分を利用して増殖し、その過程で「乳酸」を作る細菌の総称です。
チーズも味噌も醤油もキムチも乳酸菌を利用した食品です。
ブルガリア地方などのヨーグルトを多く摂っている人々に長寿な人が多いことに注目し、研究が始まったことがきっかけです。
・免疫を高める ・抗腫瘍効果 ・抗アレルギー効果 ・整腸効果 などなど
いいことずくめの効果が期待される・・・・・・・らしいのですが、、、

そんな風に期待されている食品や成分は世の中にいっぱいあります。
実際に『治療』として効果を発揮してくれるのかどうかは、まだまだ明らかではないことが多いです。
ただ、玉石混合で、その中でも乳酸菌の持つ効能が期待されているのは間違いないでしょう。

あくまで病気の治療は、「原因」を見つけ、治すことです。原因を見逃したままいくら健康にいいであろうものを摂取しても効果は期待できません。
トゲが刺さっていることに気づかずに痛み止めを飲み続けるよりも、トゲを見つけて抜く方がはるかに効果的なのです。

ということで、当院の患者さんは分かると思いますが、当院でサプリメントのようなものが処方されることはほとんどありません。

原因を明らかにして、その原因を治療するので、多くの場合でそのようなものを使用する必要がないのです。

しかし、アレルギー、免疫性疾患、難治性腫瘍など、原因を除去することが難しい病気ではその有用性や期待は高まるでしょう。
また予防医療(健康維持)の一環として、病気の発症を抑制するような食品・栄養が求められているのも事実でしょう。

どんなものを使うにしても、病気に使用する場合はキチンと診断した上で。
また、予防医療に使う場合は聞こえのいいうたい文句に惑わされないように注意しましょう。そういった意味では乳酸菌は安心・手軽に使用できるアイテムでしょうね。