猫の慢性腎臓病 其の1

2014年04月27日

「内科が得意!」

そんなことを自己紹介に書きながら、徒然なるままにブログを書き綴ってきました。たまには学術的なことも書かないと、ただのウェブ好きの獣医さんで終わってしまいますので久しぶりに真面目に書いてみたいと思います。初の連載ものスタート!(*・∀・*)V

猫の慢性腎不全

概論
腎臓の主な仕事は血液からおしっこを作ることです。血液中の老廃物をおしっこ中に捨て、余分な水分はおしっことして排尿されます。

傾向
獣医療の発展や、優良なキャットフードの開発、何よりも飼い主さんの飼育意識の向上による予防・早期治療から猫の寿命は非常に長くなりました。20歳を超える猫もけっして珍しくなくなりました。そんな中で、『がん』と『腎臓病』は猫の長生き病とも言えるほど一般的になりました。

定義
以前は、『慢性腎不全 Cronic renal failure:CRF』と呼ばれ、やや末期的な「腎臓の病気」というニュアンスが強い表現でしたが、ヒトの医療界での提唱もあり、現在は全身と密接にかかわり合う腎臓の病気という、もっと広い意味合いで、『慢性腎臓病Chronic kidney disease:CKD 』と表現したほうがいいんじゃないか変化してきました。

猫では10歳を超えるとその発生率が急増するため、定期的なチェックを行い、早い段階で慢性腎臓病と診断し、対処していくことが望まれます。

診断
慢性腎臓病の診断には何が重要だと思いますか?

血液検査? たしかに重要な検査であることに違いないですが、血液検査で異常値が出た時点で既に腎臓の機能の70〜75%以上が失われた状態なのです。

大事なのは、そう、おしっこの検査、尿検査なのです。慢性腎臓病の初期ではまずおしっこが薄くなるのです(ごくまれに例外あり)。飼い主さんが家で気づくとすると、おしっこを多くするようになったタイミングです。ですので血液検査のみで慢性腎臓病(腎不全)と言われたとしたら、それは随分乱暴な診断(?)です。

診断のためには、まずは体重など身体検査、他の病気の存在の確認、尿検査、血液検査と進み、レントゲンや超音波などの画像診断も合わせて総合的に判断する必要があります。血圧測定もしたいところです。
さらにタンパク尿であれば、尿タンパククレアチニン比を測定しましょうというのが現在のスタンダードになっています。

ここで気づくことができれば早期発見と言っていいと思います。(それでも既に腎機能はかなり失われています)
この時期が慢性腎臓病の4段階の1段階目=ステージ1と言われていて、この時期から食事療法を開始し、タンパク尿であれば飲み薬を開始したいところです。(さらなる早期診断としては、尿中の微量蛋白の検出や、イオヘキソールクリアランスの測定などが試みられていますが、専門的過ぎるので割愛します。興味のある方やセカンドオピニオンの方は聞いて下さい。)

「猫の慢性腎臓病 其の2」につづく・・・ 次回はよく相談を受ける診断後の維持の仕方に関して書きたいと思います。

ーーー追記ーーー
今回の話はちょっと難しい内容かもしれないですね。でも猫の飼い主さんはぜひ目を通しておいて下さい。ちなみに犬の腎不全に対するアプローチもほぼ一緒です。

さて、4月も間もなく終了します。病院はそれほど混みすぎることもなく、ヒマすぎることもなくといったところです。
ゴールデンウィークも休まず診察しますので何かあればご相談下さい。
ゴールデンウィーク中に1日くらいどこかに出かけたいところです。開業以来の一番の遠出が大高のイオンなので、もう少し遠くへ足を伸ばしたいですね。最近の遠出といえば新瑞橋のイオンくらいです。ナゴヤドーム前のイオンにも行きました。
こう書くと何だかイオン大好きみたいですね。。。。そういうわけでもないんですが。。。

関東に住んでいた頃に一番よく行ったのが埼玉県越谷市のレイクタウンというショッピングセンターです。(⇒日本最大のイオン)

・・・イオン好きです!(T□T) 子連れに優しい店舗作りが素敵!
注:名古屋みらい動物病院はイオンとは関係ありません。あくまで院長個人の趣向です。