猫の慢性腎臓病 其の2

2014年05月12日

前回は「猫の慢性腎臓病 其の1」と題しまして、その概略と診断について書きました。

2回目となる今回は慢性腎臓病と診断された後の治療と維持の仕方について記述していきます。

まず、現在、犬と猫の慢性腎臓病の進行具合は、IRIS(アイリス)分類というものが一般的に用いられて評価されています。
ですので、まず慢性腎臓病(腎不全)と診断されたら、獣医さんに、「アイリス分類のステージいくつですか?」と聞いてみましょう。
なぜそこが重要かというと、それぞれ1〜4までのステージ別に治療の指針が国際的に示されているからです。

なんだか難しそうに聞こえますが、いたってシンプルな分類で、血液検査のクレアチニンの数値でステージを決めるだけなのです。
そこに補足として、尿タンパククレアチニン比血圧を参考にします。
意外と簡単!
(もちろん、前回のような流れで慢性腎臓病としっかり診断してからステージ分類します)

でもでも、採血してクレアチニンの数値を測るのはよいとして、猫で尿検査や血圧測定を行うためには大前提として、「猫さんが検査に協力的なこと」、これが不可欠です。(こんなこと書いてると当院の患者さんから悲鳴が聞こえてきそうですが・・・)
ですので、どの検査をどこまで行うか・行えるかは獣医さんとしっかり相談しましょう。

さて、それでは1〜4のステージ別にどんな対処をしていくのかを紹介します。一般論に加え私の意見も加えて具体的に書いていきます。

  1. ステージ1(クレアチニン 1.6未満)
    ・腎毒性のある薬剤の中止もしくは減量(例:消炎鎮痛剤やビクタスなどの抗生物質)
    ・食事の見直し(シニア用フードへの切り替え)
    ・常に猫が水分を充分摂れるような配慮
    ・他の病気の適切な治療
    ・可能なら血圧測定と、タンパク尿があれば尿タンパククレアチニン比を測定する
    ・高血圧がある場合(収縮期160mmHg以上)に血圧の薬を使用する(例:アムロジピンなど)
    ・尿タンパククレアチニン比が高い場合にACE阻害剤を使用する(例:フォルテコール、セミントラなど)
  2. ステージ2(クレアチニン 1.6〜2.8)
    ・ステージ1の対処を継続
    ・腎臓病用の治療食の使用(例:ヒルズk/d、ロイヤルカナン腎臓サポートなど)
    ・血液検査でリンとカルシウムの測定も必ず実施する。
    ・リンの数値が高ければ、リン吸着剤を使用する(例:レンジアレン、カリナール1など)
    ・場合によっては定期的な皮下点滴を検討(症状や状態によるので獣医さんと相談を)
  3. ステージ3(クレアチニン 2.9〜5.0)
    ・ステージ1・2の対処を継続
    ・食事や飲み薬でリンの数値が5.0以下になるようにする
    ・とはいえ体重を維持できるように充分に食べる食事も必要
    ・個人的に定期的皮下点滴はしておいた方がよいと思います(ペースは相談して下さい)
  4. ステージ4(クレアチニン 5.0越え)
    ・ステージ1・2・3の対処を継続
    ・食事や飲み薬でリンの数値が6.0以下になるようにする
    ・獣医さんとよく相談して、チューブを使った強制給餌、腹膜透析、皮下留置カテーテルによる皮下点滴など検討する
    (人間で一般的にされている血液透析と腎臓移植は手段としては存在しますが、現実的ではないでしょう)

以上端的にまとめますと、
・水分摂取(皮下点滴どうするか)
・食事の管理(療法食?食べないときどうする?)
・リン吸着剤の使用
・ACE阻害剤と血圧の薬は検査の結果で使うか決定

ということになります。

それでは次回は一問一答で、実際によく聞かれる質問に対する答えという形式で書いてみたいと思います。

〈余談〉
最近は病院が混雑し、お待たせすることもあり申し訳ありません。
春の犬の予防シーズン中ではありますが、それほど予防で来院される患者さんは多くありません。(少なくもないですが・・・)
やはり紹介などで比較的重い病気の診断・治療で来院される方が多いことが影響しているかなと思います。
病院業務の効率化を頑張らないかんですね。また時期がくれば人員の拡充もしないといけないかなと考えています。でも病院が大きくなっても混むようになっても雑にだけはならないように気をつけます!