FUJIドライケム7000V導入!

2015年05月18日

フジドライケム7000V FUJIドライケム7000V
この度、血液化学検査器械、ドライケム7000Vを導入しました!
フジフィルムドライケム7000V

<新しく出来るようになったこと>

・犬のCRP(C反応性タンパク)が測定できる!
炎症マーカーであるCRPを測定することで、今調子が悪い原因として「炎症」が関与しているかどうかの予測ができます。
例)似た症状を示す2つの病気の鑑別。椎間板ヘルニアではCRPが上がらない、椎間板脊椎炎ではCRPが上がる。など

・NaKCl(電解質)測定がその場で結果が出る!
体の基本的成分であるミネラルバランスをリアルタイムに知ることで、入院管理の点滴治療などをより厳密に行うことができます。

・犬リパーゼ活性の測定が可能に!
今までの器械ではヒトリパーゼの測定だったため信頼性が低かったのですが、犬リパーゼを測定できることで診断の難しい「膵炎」の判断がしやすくなります。

・血液検査が5件まで同時セットできる!(今まではもちろん1件ずつ)
今まで、1つの血液検査が終わるまで次の血液検査は待っていなければいけませんでしたが、次々にセットができます。でも獣医さんは僕一人で、分身して採血をできるわけでもないので現状ではあまり必要ないかも(笑) 獣医さんが増えたら非常に役に立ちます!

<導入して気になった点>

・音がうるさい!
多機能かつ高性能なドライケムくん。器械を冷やすためか常に冷却ファンがフル回転しているのがタマに傷。いつも一生懸命、ということでご愛嬌だと思っておきます。

優秀な器械をフル活用して、引き続きビシバシと診断を進めていきたいと思います。

さて、1年でもっとも動物病院が混雑する犬の予防シーズンも終盤戦に入ってきました。当院では混雑が一段落して、やっと一息つける感じになってきました。
まだ来院してない方はお早めにご来院ください。

必要なの? 猫のフィラリア予防

2015年05月08日

こんにちは。だいぶ気温も高くなり、飛び回る蚊を見かけるようになりました。
今回は予告通り、猫のフィラリア予防について書いていきます。

猫のフィラリア予防を知る上で知っておかなければならないのは、犬のフィラリア予防についてです。

2012年9月に当院は開院しましたが、開院初日の最初に来院したワンちゃんがなんとフィラリア症でした。このことからも分かるようにまだまだ油断をすると感染してしまうリスクの高い犬の病気が「フィラリア」です。

解説すると長くなるので、興味のある方はこちらをどうぞ ”メリアル社「犬のフィラリア症について」

簡単にまとめると、「フィラリアという寄生虫が蚊の体内に潜んでいます。その蚊が犬の血を吸うときに時に、フィラリアが大好きな犬の体内に侵入。犬の血管に侵入し肺動脈ですくすくと成長し、成虫になります。そしてフィラリアがさらに何匹も侵入してくると心臓や肺に致命的な障害を与えてしまいます。」といった感じです。

このフィラリア症は安全に100%予防できます。予防薬には、毎月1回使う飲み薬や背中に垂らすスポット剤と、年1回の注射で済む注射タイプが主に使われています。
犬にとってフィラリア予防は間違いなく必須のものでしょう。

「で、猫には必要なの?」

そうです、それが今回のテーマです。

獣医師である僕の立場からすると、

「しといた方が多分いいですよ。猫もフィラリア予防。」

くらいのニュアンスになるかと思います。

猫のフィラリア症といっても、猫に侵入を試みてくるのは犬フィラリア幼虫です。犬フィラリアからすると猫の体は相性がよろしくないようで、多くのフィラリア幼虫は体に侵入しても心臓・肺動脈にたどり着く前に幼虫のまま死に絶えてしまいます。ただ、一部が成虫まで発育します。
犬の心臓より小さい猫の心臓にフィラリアの成虫が与える影響が大きいことは想像できます。

また、犬の場合、フィラリアに感染しているか否かは血液検査で比較的容易に正確に確認できます。
猫の場合はなかなか容易に判定できないのが特徴です。
犬で行う春の予防薬投与前のフィラリア検査は、猫では意義が少ないため行いません。(検出率の問題や、副作用の要因になるミクロフィラリア血症が少ないから)

近年の野良猫を調べた調査では、およそ10%の猫の心臓内にフィラリア成虫が認められたそうです。
これは致死的な寄生虫感染症としては高い数値といえると思います。
屋内で飼育している猫ではもちろん野良猫よりずっと感染の危険性は低いでしょう。

でも予防薬で100%防げるとすると予防した方がいいんじゃないかと・・・思いませんか?

「うんうん。そう思う。」
という方は是非予防してあげてください。

「いや、うちの子は確率的に必要無いのでは」
という方はそれも一つの意見と思います。

何でもかんでも予防すればいいというわけではないと思います。
例えば完全室内飼育の猫にノミマダニ予防を勧めるメーカーなどもあるようです。最終的な判断は飼い主さんに委ねられますが、そこまでする必要はないのでは?と個人的に思います。
(ちなみに過去10年で3回だけ完全室内飼育の猫にノミが感染した例を診ました。人を介して玄関から侵入したのかもしれません。その他ベランダに出る子だと感染する危険性は少しあると思います。)
猫のフィラリア予防はそれを考えた場合、重要性の比較的高い予防と言えるのではないでしょうか。

ご不明の点はお問い合わせください。

猫