危険な異物誤飲 -タマネギ中毒-

2016年12月19日

こんにちは。
寒い日が続いていますね。

さて、前回からの続きです。

危険な異物誤飲リストから身近なものをピックアップ!

今回は、

タマネギ中毒について

です。

犬や猫はタマネギ食べちゃダメ!ということはご存知の方が多いと思います。

「タマネギ」中毒とは言っても、にんにく、ネギ、ニラなどのAllium科に属する植物を摂取すれば同じ中毒を起こします。

原因は?

ネギ類に含まれる、n-プロピルジスルフィドという化学物質により、血液の主成分である赤血球の膜が酸化されて壊れてしまうことが原因です。
特に犬と猫で中毒を起こしやすいので注意が必要です。猫は犬より少量で中毒を起こすことが知られていますが、猫のタマネギ中毒に出会ったことは私自身は一度もありません。

どれくらい食べたら中毒を起こすの?

気になるところですね。
およそ体重の0.5%以上ほど、つまり体重1kgあたり5g以上を摂取すると危険ということになります。
厄介なことに、加熱しても、細かく切っても、煮込んでも、と調理済みでもその毒性は変わりません。
またネギ類と一緒に煮込んだスープでも中毒を起こすおそれがあります。
経験的には、中毒の起こしやすさには個体差が大きいのではと感じています。

症状は?

最も問題になるのは、赤血球が壊れるので貧血が進むことです。重症であれば輸血が必要になるほどです。場合によっては死亡する危険もあります。

ネギ類の摂取から、早ければ数時間後から、

  • 元気がなくなる
  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 震え

などの症状が出始めます。

その後、血液もしくはコーヒー色の尿をするようになったら一大事です。これは赤血球が壊れて中の色素が血液中に放出されて、尿に溢れ出してきていることを示します。
血液検査で貧血の進行の度合いを時間を追ってチェックする必要があります。

経験的には摂取から3日間を過ぎても何もなければ大事に至ることはないようです。

対処・治療法

特効薬はありません。
食べてから2時間以内なら動物病院で吐かせる処置を受けましょう。

時間が経ってしまっていたら、、、
いっぱい食べていそうなら動物病院を受診しましょう。点滴や吸着剤などが多少の効果を発揮するかもしれません。
ごく少量であれば、症状がでないか注意深く観察しながら何も起きないことを祈ります。

症状が出ていたら
緊急事態です。動物病院を受診し、血液検査や適切な治療が必要です。状況によっては入院が必要でしょう。
貧血が進行するようなら輸血を検討します。摂取から5日間以上貧血が進行し続けることもあります。

症状が快方に向かえばひとまず安心です。

まとめ

タマネギ中毒は非常に身近なものが原因で起きる中毒の一つです。
タマネギくわえてムシャムシャ食べました!ってワンちゃんは、少なくとも私は見たことがありません。
ほとんどが、調理済みのネギ料理を盗み食いした、だとか、ゴミ箱をあさった、とかで起きます。
なかには、「昔の犬は大丈夫だった!」と胸を張ってネギ料理を食べさせてしまう例もあります。
え〜、昔も今も犬は犬です。昔の方が日本犬が多く、相対的に体が大きくて大丈夫だっただけでしょう。

まとめの一言、

タマネギ食ったらなるべく早く動物病院で吐かせる!

 

See you next…

診察に手術に入院に 2016秋

2016年11月23日

こんにちは。
先月から手術・入院患者が続いており、ややお疲れ気味の院長です。
美味しいビールとパスタで疲れを癒したいと思います。

最近は当院の患者さんたちが口コミ活動をしてくれているのか、新規の飼い主様も増えました。やらせ・強要なし!(^◇^;)
ありがたいことです。

一応、アピールも(笑)兼ねて先月からで行っているものを挙げますと、
大きな手術としては、

・胃捻転整復・固定
・両側の会陰ヘルニアの、精管&結腸固定・内閉鎖筋転移術
・腸管内異物摘出
・胃内腸管内異物摘出・腸重積に対する腸管切除&縫合
・全臼歯抜歯
・うさぎの子宮疾患(卵巣子宮摘出手術)

もちろん、みんな順調に経過していますよ!

そして気になるのが「異物誤飲」です。
ここ1ヶ月の誤飲リストを挙げると、

・チョコレート
・玉ねぎ
・乾燥剤(シリカゲル)
・湿布(インドメタシン)
・髪ゴム
・首輪
・景品用の玩具

この中で入院治療もしくは手術に至った危ない異物はどれかわかりますか?

答えは、

・玉ねぎ
・湿布
・髪ゴム
・首輪

です。

ということで、次回、気をつけたい異物誤飲リストに関して書いてみたいと思います。

COMING SOON… Maybe

お食事会

2016年10月21日

こんにちは。

いつの頃からかこの季節、街に出ればハロウィンの装飾でいっぱいですね。
ハロウィンというイベントはいつからあったんでしょうか? 自分が子供の頃はハロウィンなんて聞いたこともなかったです。
自分が子供の頃はお月見泥棒というのは毎年参加していました。ご存知ですか? 十五夜の9月15日に子供達で近所の家を回って、「おつきみで〜す!」と押しかけてお菓子をもらうというイベントです。
ただこの風習もどうやらローカルなものらしくて、妻(岩手県出身)に聞いたところ、まったく知らないとのことでした。

みんなで可愛く仮装したり飾り付けしたりは微笑ましいですが、ニュースで問題になっているような度を越したコスプレ?と大騒ぎは考えものですね。

さて、先日、開院以来初の、スタッフでのお食事会を開催しました。開院5年目にして初! 別に仲が悪いわけじゃないですよ! 仕事以外に対して院長の腰が重いだけです(笑)
10月12日で動物看護師の浅見が退職することになり、ちょうどお別れ会ということにもなりました。

西区にあるウェスティンナゴヤキャッスルに行きました。名古屋城のすぐ隣にあります。ブッフェスタイルで、ローストビーフやイベリコ豚のローストポークもありました!

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誰もアルコールを飲むことなく、平和なお食事会でした U^ェ^U

浅見さん、3年半お疲れさまでした。お幸せに〜♪

 

・・・ということで、ただいま名古屋みらい動物病院では動物看護師さんを募集しております。
基本、正社員としての募集ですが、経験者の方はパートも応相談でございます。ご応募お待ちしておりますm(_ _)m

開院4周年

2016年09月03日

こんばんは。

本日、9月3日は名古屋みらい動物病院の開院4周年の記念日でした。

今年は特に何もしていませんが(^^;

当院は2012年9月3日に開院しました。

今日その話をうちの子供たちにしたら、「ドラえもんと同じ誕生日だ!」と言っていました。

すごく驚きました。

なぜかというと、そもそも「みらい動物病院」の「みらい」は、何から名付けたかというと、わたくし院長の好きな色が青と白の組み合わせだったので、

青と白 → ドラえもん → みらいからやってきた → みらい動物病院!

と連想させて名付けたからです。もちろんドラえもんの誕生日なんて意識したことはありません。

しかも! 今日調べたら、ドラえもんの誕生日は、2112年9月3日ということだそうです! 100年違い!

偶然でも、なんだか運命的な感じで鳥肌が立ちます(>_<) 何はともあれ、4周年のこの日を迎えられたのは、当院を支えていただいた、皆さんのおかげです。 今や、名古屋でも屈指の動物病院激戦区の天白区ですが、ドラえもんのように皆さんに永らく愛される存在でいられますように日々努力を重ねていきたいと思います。 それでは、5年目の名古屋みらい動物病院もよろしくお願いします!m(_ _)m

内視鏡を導入しました!

2016年08月08日

こんにちは。
このたび、天白区の名古屋みらい動物病院では消化管内視鏡を導入しました。

フジの「Sapientia FTS system 4400」です。
消化管内視鏡

口からではなく鼻からの内視鏡検査を可能にするために人用に開発された機種ですので、スコープの太さは、なんと5.9mm! 従来型のスコープでは難しかった超小型犬や猫でも、食道・胃・十二指腸の観察を可能にします。
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・飲み込んだ異物を開腹することなく摘出したい
・治らない吐き気の原因を追求をしたい
・胃カテーテルの設置を考えている

などなど、内視鏡でなければできない獣医療を、みなさまに提供していきたいと思います。

ちなみに人間と違って動物では全身麻酔をした状態でないと内視鏡検査を行うことはできませんのでご承知おきください。
ご不明の点はお問い合わせください。

Fixinロッキングプレートシステムのセミナー

2016年07月04日

6月23日木曜日に大阪での勉強会に参加してきました。骨折の治療に用いる最新のプレートシステムの勉強会です。

従来のプレートに対して、ロッキングプレートは骨自体に圧迫を加えないため、骨折を治そうとする体の反応自体を邪魔しづらくできています。また、固定力自体も従来のプレートに比べて高く、手術後にプレートがズレづらい特徴を持っています。
そしてこのFixinのロッキングプレートは、イタリアのイントラウマ社が動物専用に開発したプレートシステムであるため、他社の元々人用に開発されたロッキングプレートに比べて、薄く小さく動物に適したサイズ・形状に開発されています。

午前9時からのスタートに間に合うように、野並駅に7時前に到着。名古屋駅から新大阪に向けて新幹線に乗りました。
なんと、開業してから初の新幹線、初の県外です。新大阪までのおよそ50分間、少し優雅な気分を味わえました。

新大阪に到着♪
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実習は、他に参加の獣医さんと2人一組で、交代交代で骨の模型の骨折を治す実習形式です。
が、なんと、僕の相方予定の先生だけが急遽欠席ということで、実習時間を独り占めすることができました。
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最新のFixinロッキングプレートを使って治した骨折模型がこちら!
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この通りに実際に手術できれば、骨折は治るでしょうね。

とはいえ、最新の道具を使って治療することが、最良の治療とは限りません。従来のプレートを使ってしっかり治せる骨折の方が多いでしょうし、その方が安価です。

また、面白いことに骨折はあまり強力に固定しすぎると骨がダメになってしまうのです。簡単に言うと、プレートが強力に体重を支えてしまってはプレートに支えられた部分の骨の仕事がなくなって骨がもろくなってしますのです。

骨折治療の基本原則を理解しつつ、最新の道具や方法があればそれに越したことはないでしょうから、今後導入していきたいと思っています。

新大阪で他に何かしたか?
いえいえ、その日のうちに名古屋にとんぼ返りの強行軍です。
駅で子供達にお土産を買って帰りました。長男にビリケンさんの箸を買っていったら予想以上に喜んで使ってくれているので、今回の一番の収穫は「ビリケンさん箸」だったかもしれません(笑)

第2回 応急処置セミナー開催のお知らせ

2016年06月13日

こんにちは。蒸し暑いですね〜。

問い合わせを多くいただいておりました、応急処置セミナーに関するお知らせです。

第2回の開催が決定しました。

2016年 7月16日 土曜日 13:30〜15:30の予定です。

内容は基本的に前回と同じ、

・犬の正常なバイタルサインとは
・心肺蘇生について
・緊急を要する事故
・緊急を要する病気

ですが、熊本の地震のこともありましたので、

・災害時のマイクロチップの有用性

も加えたいと思います。

参加費は、2,160円(税込)

参加定員は5家族様までとさせていただきます。避妊去勢手術済みで、落ち着いて待っていられるワンちゃんは同伴OKです。

心拍数・脈拍数の取り方や、体温測定など、実習形式の内容も少し行う予定です。

6月13日現在、すでに申し込みが2組ありましたので、参加希望の方は 052−838−9009 までお早めにご連絡ください。

春の犬予防シーズン

2016年05月16日

こんにちは。
ご無沙汰しております。

動物病院が一年間で最も混雑するシーズン。そう、それが4月〜5月なのです!

保健所から狂犬病の注射打ってね〜、とハガキが届き、
動物病院からフィラリアの予防シーズンが近づいてきたよ〜、と案内が届く。

そしてフィラリアの予防のスタート前の4〜5月に来院が集中することになります。
ワンコで待合が混雑し、猫・うさぎさん達に肩身の狭い思いをさせてしまう時期でもあります。

小規模な当院でも、混雑する日だと1日50件近い来院がありますので、獣医師1人で診察しているとどうしてもお待たせしてしまいます。

ただそんな混雑も一息ついた印象です。当院に通ってくださる飼い主様は予防意識も高い方が多く、かなり早めに来院していただけましたので、やっと今日ブログを書く余裕ができました!

最近の出来事としては、看護師の片桐が2日間のスキンケアセミナーを受講し、無事スキンケア検定に合格しました! 皮膚に悩みをもった犬達の強い味方になってくれるでしょう。薬浴も担当していきます。
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また、トリマーの川本が絶賛カット(トリミング)受付中です!
今までのトリマーとしてのキャリアと、当院での獣医学的なノウハウを融合させ、より良いトリミングを実践していきます。
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そして院長の近況は・・・
なまった体でテニスをしたら転んで手の甲を激しく擦り剥きました(T_T)
写真は痛々しいので自主規制しておきます(^^;
テニスの腕に覚えのある方、誰かこんな体を鍛え直してやってください!

ブログは定期更新を目指していきます。
再度の開催のリクエストの多い、「応急処置セミナー」も準備せんとですね。

セミナー開催のお知らせ

2016年03月11日

2016年3月19日13:30~15:30に当院にてセミナーを開催します。

題しまして、「犬の応急処置セミナー」。

内容は、すごくまとめて書きますと、

・犬の正常なバイタルサインとは
・心肺蘇生について
・緊急を要する事故
・緊急を要する病気

といった感じです。プレゼンテーションはわたくし、院長・獣医師の石川が務めさせていただきます。

コントロール可能な愛犬であれば、一緒に参加ができるため、実際に心音を聞いてみたり、脈拍を測ったり、体温を測ったりをスタッフが指導のもと、体験していただきます。

定員ですが、5家族まで

そして、興味を持っていただいた方には大変申し訳ないのですが、告知後、一瞬にして定員に達してしまったため、応募を打ち切らせていただきます

大変申し訳ありませんm(_ _)m

すでに、別の日程での開催の希望をいただいておりますので、また予定が決まりましたら当院ウェブサイトにてお知らせいたします。

さて、わたくしの近況ですが、スギ花粉による目のかゆみに悶えております。
乳酸菌サプリメントが今年は効いたぜ〜、と、はしゃいでたらバチが当たったのか、昨日からたいへんなことになりました。。。
不意打ちをしてくるとは、スギ花粉恐るべし。

また、土曜日に男性の獣医さんが研修に来ることになりました。今のところはしばらくこちらで研修を重ねる予定ですので、みなさんよろしくお願いします。
トリミングも再開のメドが立ちました! 4月の下旬からになってしまうかもしれませんが、今しばらくお待ち下さい。

ご報告

2016年02月21日

私事ですが、10年間連れ添いました、愛うさぎのミロが19日に亡くなりました。

一部の飼い主さんにもわたしのペットのことを気にかけていただいていました。ありがとうございました。

職業柄、いつ亡くなるかというのはおおよそ分かっていましたので、家族で送り出す準備はしていたつもりですが、やはり、動物の寿命というものには贖えないものだと獣医師としての無力感を感じています。

ペットの死に直面することで、生きることには限りがあるのだと教えられます。

生きるということは普遍的すぎて、死は突然やってくるように感じてしまいます。

でも、動物である以上、死は必然であり、また、死は普遍的なんだと思い知らされます。

だから自分も生きること、生きられることを意識し、みなさんのペットが生きられる間、最大限に力添えをできればと願います。

普段、見慣れているはずのペットの死。でも一つ一つの死に関わることのできる自分の立場を、一期一会ではありませんが、唯一無二のものとして責任を果たさなければならないと、再認識することができました。

この道に導いてくれた愛犬と、この道での位置を教えてくれた愛うさぎに。感謝して前に進みたいと思います。